2024年01月27日

『YAT安心!宇宙旅行』の原案とコミカライズ

Twitter(X)で原作改変が話題になってるようです。当該の事案についてはよく調べてないので直接の言及はしませんが、『YAT安心!宇宙旅行』の配信が始まったこともあり、『YAT』における私の立ち位置について述べてみようと思います。

私の『YAT』における肩書は「原案」です。「原作」というのはメディアを問わず「作品」として完成されたものが先に存在するということなので、『YAT』の場合は先にアニメとしての企画があり、キャラクターや設定のベースとなるアイデアを依頼されたという形なため、「原作」ではなく「原案」なのです。

ただ私の場合は同時にコミカライズも手がけたため「漫画原作」と混同されがちです。まあやってることは『仮面ライダー』における石ノ森章太郎先生や『マジンガーZ』における永井豪先生と同じような感じなので、時代が違えば「原作」とされていたかもしれません。一番近いのは『宇宙戦艦ヤマト』における松本零士先生の立ち位置かな?ただ『YAT』はコピーライトマーク️に私の名前も入ってるので少し原作者に近いです。いくつかのエピソードのプロットを書いたり、毎週の脚本&絵コンテの打ち合わせにも出ていました。

でもアニメの『YAT』が誰の作品か、といえば、私は一番には難波日登志監督だと思っています。シリーズ構成の林民夫さんの力も大きいです。工藤裕加さんのキャラデザも魅力的で私の方も大いに影響を受けました。皆さんあまりに優秀なので、毎週の打ち合わせでも私のやることといえば、ちょっとした追加や修正、ほとんどは単なる確認作業だったという印象です。まあ本当はもっと関わるはずがコミカライズ作業が大変すぎたというのも大きいですが。

だから私はアニメでは「原案」ですが、コミカライズは「原作改変」であると言えるでしょう。ストーリー混成もかなり変えています。ただメディアが違えば表現の最適解も変わってきます。原作がそのメディアの特性を活かしているほど、違うメディアでは変わるのが当然、逆にそのことが原作の完成度の高さの証明でもあるとも言えます。とは言え、原作をリスペクトしているなら守るべきところはあります。作品の根幹のテーマとかキャラクター性などですね。

また、アニメやドラマが原作となるコミカライズの場合は、同じ期間で描ける長さ(話数)がかなり短いので、変わらざるを得ない部分があります。逆に漫画原作の場合は映像作品でフルに描ける場合が多いので、原作準拠を求められる度合いは大きいというのはあるでしょう。

いずれにせよ、言い古されたことですが大事なのはリスペクトなんでしょうね。『YAT』では原案、アニメ双方にそれがあったと私は思っています。もちろん拘りやそこからくる衝突も必要な局面はあるでしょうが、作品を良いものにするのに寄与しない理不尽ないざこざは無いに越したことはありませんよね。まあ私は個人なので気楽と言えばそれまでですが。
posted by MASH at 15:15| Comment(0) | YAT安心!宇宙旅行