…と言いつつ、実は自分の漫画作品ではヒーローと言えるようなキャラってほとんどいないんですよね。特撮ヒーローもののコミカライズである『超星神グランセイザー』は別として、立ち位置的にはまだしもビジュアル的な面も含めて「ヒーローだ!」ってキャラは皆無かも。
とはいえ、男の子ですからヒーローは大好きだったわけです。で、自分の中のヒーロー像を探ってみると……。
石ノ森ヒーローを筆頭に、私らの子供時代のヒーローたちは「力」を得た代償に「普通の人間でなくなった苦悩や悲しみ」といったものを背負うのが通例となっていました。男の子的には当然、人並みはずれた能力を手にすることに憧れるんですが、そうすると必ずと言っていいほど、そういうものがセットでついてくるので、ヒーローと自分を同一視して感情移入すればするほど、差別や偏見を受ける立場の心情も疑似体験せざるを得なかったわけです。結果として「強さに憧れる=苦悩する=苦悩に憧れる」という、M製造システムになってたような気もしてきます。(^_^;)
1.仮面ライダー(描き下ろし)
石ノ森ヒーローの代表といえばこれ。改造人間=サイボーグであるので、その苦悩を描いたという点では「サイボーグ009」の方がより端的かもしれませんが、自分の年齢的には009はちょっと早かったかも。あと、実写で役者が演じてる凄みというのもあったかも。

2.キャシャーン(描き下ろし)
人間でなくなったことに苦悩するヒーローとしてはこれ以上はないかも。OPナレーションの「たったひとつの命を捨てて、生まれ変わった不死身の身体」というのも「本郷猛は改造人間である」をパワーアップした感があります。ただ、キャシャーンは人間でなくなること自体には最初に覚悟を決めてて、そのこと自体に悩んでる感じはあまりなくて、むしろ周囲の偏見と戦うというのが大きかったかな?

3.ウルトラセブン(再掲・改)
ウルトラの人たちは、そもそも地球人でなかったり、仮住まいだったりで、人間でない悩みというのは本来的にはなくて、正体を隠すのも「その方が活動しやすい」とかいった戦略的な都合なのでサッパリしたもんです。ただ、人間との間に恋愛感情が生まれちゃったりすると悩みが発生しちゃう。TVアニメ版のデビルマンなんかは、そこから始まっちゃうわけですね。

その後「搭乗型ロボット」や「強化スーツ」によって、人間以上の力を手に入れつつも、その状態を任意に切り離せるようになって、ヒーローは悩まなくなっていくのでした。